聖闘士星矢THE LOST CANVAS冥王神話

週間少年チャンピオンで連載をしていた聖闘士星矢 冥王神話が先日無事に円満終了し、最終巻も刊行されました。全25巻。

原作の聖闘士星矢の243年前の、前聖戦が舞台となっています。孤児院で育ったテンマと幼馴染の兄妹アローンとサーシャ。テンマは天馬星座(ペガサス)の聖闘士となりますが、アローンは冥王の依代となる、そしてサーシャはアテナとなる宿命に生まれ、親友・兄妹同士で戦い合う悲運と、聖闘士と冥王軍の死闘を描いていきます。設定上この聖戦で生き残ったとされる、原作で登場した天秤星座(ライブラ)の童虎、牡羊星座(アリエス)のシオンも登場します。

ストーリーは、聖闘士側の最高戦力とされる黄金聖闘士の12人がメインとなっています。原作では、最終的にこの聖戦では童虎とシオンを残し聖闘士は全滅したという設定なので、出てくる他の黄金聖闘士も例外なく命を落とすことになり、それぞれの生き様や死に様にフォーカスが当てられています。どの黄金聖闘士も非常に熱い戦いが描かれます。原作で不遇(?)だった巨蟹星座(キャンサー)や双魚星座(ピスケス)もとてもカッコ良く描かれているため、一見の価値があります。とにかく展開が熱く、昔のジャンプ漫画を思い起こさせる滾る展開が満載です。一部ちょっと強引な展開や不可解な部分も散見されますが、まぁ許容範囲かなと思います。

作者の手代木詩織さんはご本人自信も生粋の聖闘士星矢オタクと自認しており、原作の設定を大切に踏襲しつつオリジナルの要素を取り入れており、外伝モノの見本ともいえる見事な出来です。黄金聖闘士が原作の技を使ったり、原作のセリフや設定をオマージュしたりとサービス精神旺盛ですので、原作を知っていればいる程楽しめます。

また画力も高く、細かくトーンの多い聖衣や冥衣をとても美しく描写しています。少女漫画的な繊細な画がメインながらも、バトルではしっかりと骨太な印象です。絵の面でも原作をオマージュしており、黒吹き出しや見開きの技名叫びながら炸裂させる描写を自分流にアレンジしているのは唸らされます。

自分的にキャラクターで好きなのは、出番は少ないながらも蠍座です。バトルで好きなのは蟹座と双子座。