映画『まほろ駅前多田便利軒』を観に行きました

やや旧聞に属しますが、去る5月1日に『まほろ駅前多田便利軒』を見に行きました。

東京都まほろ市で便利屋を営む多田。ある日の仕事帰り、中学校の同級生だった行天春彦と会う。変える場所がないという行天を仕方なく事務所に置くことになり、多田便利軒はコンビを組んで犬の飼い主探し、ドアの立て付け直しなど様々な依頼をこなしていくが…

同名の小説を映像化したものです。原作は、一見個性や大きな事件もなくたんたんと進んでいくストーリーに、気づくと何時の間にか引き込まれていたという、謎の中毒性がある名著でしたが、そういった独特の雰囲気は映画でもしっかり再現されています。多田と行天の微妙な距離感の中でのやりとりがうまく映像化されていて、とても好印象でした。特に二人の会話と会話の間の『間』の取り方は映像化ならではです。

ストーリーに関しても、他愛もない仕事や事件を二人でこなしていく、その中にときおり彼らの哲学や人生の闇(謎)部分にグッとフォーカスを当てていくというのを、うまく表現していたと思います。人間関係は若干アレンジされており、エンディングも原作よりわかりやすいテーマのオチになっていますが、その分感情移入しやすいものとなっていると思います。

役者の演技もよかったです。多田を演じる瑛太は、個人的にはあまり好きではないのですが、彼の演技は真面目な多田のキャラクターにあっていたし、後半にある行天への独白の長いカットは素晴らしい出来で、一見の価値があります。行天を演じる松田龍平は、飄々としているキャラクターによく合っていたので安心して見れました。

しかし、行天の『おれたち最近会話なくね?』みたいな台詞は、こいつら恋人なのかと思いましたが。